新しい信託法とその活用例④

事業承継に対応したい(後継ぎ遺贈型受益者連続相続の活用2)

 

甲会社の株式は、経営者一族が以下のように保有しています。

  経営者A:75%   専務B(Aの長男):15%  

  部長C(Aの二男):10%  

  三男Dは他の会社に勤務しています。

Aさんの資産は、甲会社の株式1億円、自宅の土地・建物1億円、預貯金1億円で、Aさんは、長男Bを甲会社の後継者と考えていますが、その後は孫のE(Bの子)に任せたいと考えています。そこでAさんは、以下の信託契約公正証書を作成しました。

 

【信託契約公正証書の内容】

①Aは、一般社団法人乙に、全財産のうち株式を信託し、乙を受託者、当初受益者をAとする。

②信託株式の議決権は、委託者A又はその指名する者の指図により受託者が行使する。

  委託者Aは、指図ができなくなった場合に備えて長男Bを指名する。

③Aが死亡した場合、株式の第2次受益権者をBとし、Bが死亡した場合に第3次受益権者をEとする。

④Eが死亡した場合に信託は終了とし、Eの子を残余財産受益者とする。

⑤信託監督人としてF弁護士法人を指定する。

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   この「後継ぎ遺贈型受益者連続相続」を活用すれば、Aが死亡しても甲会社の経営は長男Bと孫のE、またEの子に委ねられます。そして、株式は信託財産なので、受益者連続相続の特例(相続税法第9条の3)により、相続の対象からは外れます。あとは、自宅の土地・建物と預貯金の配分を、B、C、D間でもめ事にならないよう(遺留分に配慮して)遺言で決めることになります。