賃貸住宅管理業法の成立と一部施行

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賃貸住宅管理業法の成立と一部施行

~サブリース事業者の行為規制~


1、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の成立

賃貸住宅の管理について、近年、オーナーの高齢化や相続等に伴う兼業化の進展、管理内容の高度化等により、管理業者に管理を委託等するオーナーが増加し、さらに、賃貸経営を管理業者にいわば一任できる“サブリース方式”も増加しています。しかし、管理業者の介在が増加する中、オーナーあるいは入居者とのトラブルが増加し、特に、サブリース方式では、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化しているとの指摘がなされていました。

そのような中、令和2年3月6日に、

(1)賃貸住宅管理業にかかる(義務的な)登録制度の創設と、

(2)サブリース業者の行為規制(不当勧誘、誇大広告等の禁止等)

を骨子とする、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下、「賃貸住宅管理業法」といいます)が成立しました(同月19日公布)。

 この内、(2)のサブリース業者の行為規制は、令和2年(2020年)12月15日に施行されています。サブリース業者の行為規制は、違反した業者に対し、罰則(懲役、罰金)や、行政処分(指示処分、業務停止命令、勧誘停止命令)が規定されている等、強力なものとなっています。


2、サブリース業者の行為規制の概要

転貸を目的としたサブリース業者と所有者(オーナー)との間の賃貸借契約(以下、「マスターリース契約」といいます)の内、「特定賃貸借契約」に該当する場合には、サブリース業者(特定転貸事業者)に対して、以下の規制がなされることになります。

賃貸住宅管理業法は、主に借主の保護を目的とする借地借家法と異なり、貸主(オーナー)の保護を目的としているため、借地借家法の規定によって形式的には生じ得る貸主(オーナー)の不利益・リスクについて借主であるサブリース業者が説明をしなければならないという関係が生じる点は、特に注意が必要です。

(1)誇大広告等の禁止(法28条)

サブリース事業者は、特定賃貸借契約の条件について広告をするときには、支払うべき家賃その他一定の事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない、とされています。

(2)不当な勧誘等の禁止(法29条)

サブリース事業者等は、特定賃貸借契約の締結の勧誘を行うに際して、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為を行ってはならない、とされています。

また、特定賃貸借契約の締結又は更新等にあたり、当該契約の相手方又は相手方となろうとする者に対して、威迫する行為、迷惑を覚えさせるような時間に勧誘する行為、深夜若しくは長時間の勧誘等により困惑させる行為、あるいは契約の締結等を行わない意思を表示したにもかかわらず執拗に勧誘する行為をすることも禁止されています。

(3)契約締結前における契約内容の説明及び書面交付義務

(いわゆる重要事項説明)(法30条)

オーナーとなろうとする者が契約内容を正しく理解した上で、適切なリスク判断のもと、マスターリース契約を締結することができる環境を整えるため、サブリース業者は、契約締結前に、オーナーとなろうとする者に書面を交付し、説明することが義務づけられています。

(4)契約締結時における書面交付義務(法31条)

マスターリース契約は、家賃その他賃貸の条件、維持保全の実施方法や費用分担、契約期間、契約解除の条件等多岐にわたる複雑なものとなるため、契約締結後に契約内容や条件を確認できるよう、サブリース事業者に対し、契約締結時に相手方に必要な事項を記載した書面を交付することを義務づけ、当事者間の認識の相違による紛争の発生防止を図ることとしています。なお、解釈指針において、法定記載事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができるとされています。


3、政令・内閣府令、ガイドライン等

サブリース事業規制に関連して、賃貸住宅管理業法に係る政令(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する施行令)及び内閣府令(同施行規則)が施行されています。

また、国土交通省からは、令和2年10月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」、「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が公表されており、重要事項説明書の様式例・記載例を含め、サブリース事業規制に係る解釈・考え方について詳細に示されています。

さらに、国土交通省からは、令和2年12月に、「サブリース住宅標準契約書」、「サブリース住宅定期建物賃貸借標準契約書」(それぞれ「家賃債務保証業者型」と「連帯保証人型」があります)が公表されています。

いずれも、監督官庁による規制の解釈・監督の指針となるものであるため、実務上は特に留意が必要です。