パワハラ防止対策の義務化について

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 労働施策総合推進法の改正(令和元年5月29日成立、同年6月5日公布)により、職場におけるパワーハラスメント(※)対策が、

令和2年6月1日から大企業の義務になっており、

令和4年4月1日からは、中小企業も義務化されます(それまでは努力義務)。

 

パワーハラスメントとは、「①優越的な関係を背景とした」、「②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により」 、「③就業環境を害すること」(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)をいいます(当ホームページ2020年6月8日付で「 パワハラ防止法が施行されました」(よくある法律相談・労働)として解説しております)。

 

 下記のような義務を履行するためには、

(1)代表者のメッセージの策定・公開、

(2)ルールの制定(就業規則等の改訂)、

(3)パワハラ防止研修(管理職向け、一般従業員向け)の実施、

(4)社内掲示等による周知、

(5)相談窓口の設置、等

段階的に様々な対応が必要であり、ある程度の期間を要します。

そのため、令和4年4月1日から義務を履行するためには、早めの対応が求められます

代表者のメッセージの策定、就業規則等の改訂、パワハラ防止研修の講師等、お困りの場合には、弁護士に相談下さい。

 


1、法律上明確化された事業主の責務
職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題(以下「ハラスメント問題」という。)に対する労働者の関心と理解を深めること
②その雇用する労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
③事業主自身(法人の場合はその役員)がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

 ※労働者:取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。


2、職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置
◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

 
◆相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

 
◆職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)
⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)
⑧再発防止に向けた措置を講ずること(注2)

注1:事実確認ができた場合 注2:事実確認ができなかった場合も同様

 
◆その他、併せて講ずべき措置

⑨相談者・行為者等のプライバシー(注3)を保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
注3:性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含む。
⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


3、事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
 事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。

 


※参照 

厚生労働省「あかるい職場応援団」パワハラ研修資料ダウンロードページ

https://no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/